うるし塗りについて
人類は皮膚炎(漆カブレ)を起こすような木の樹液を何故利用して
漆塗を幅広く活用してきたのでしょうか?
実は漆は人類にとって非常に有意義な驚異のパワーを
数多く秘めているのです。
|漆の6つの特徴
古代より人類は漆を木製品や土器・建物などに上塗りして利用してきました。
それはウルシのもつ魔力とも言うべき漆パワーを秘めていたからです。
- 強力な接着力
- 堅牢性
- 抗菌性
- 防腐性
- 美しい光沢
- あらゆるものに塗布できる
この漆の特性に人類は早くから気づいていたようです。
ウルシはまた解毒剤としても殺菌薬としても利用された魔法の樹液だったのです。
|漆ぬりの利用
漆というと私たちは食事の際につかうお椀をまずは思い浮かべますが
実は身の回りの様々な箇所で漆ぬりの器具や建物を見かけます。
漆は半透明の生漆をそのまま塗ると下の素地の木目などが生かされた風合いになります。
漆は溶剤として様々な顔料色素を溶いて利用できます。
良く神社などで見かける朱色などや黒漆、白漆など様々な色付けが出来ます。
漆はその安全性や保護性、堅牢性、美観からアジア地域では
古代から大いに民族文化に取り入れられてアジアの漆文化圏を形成してきました。
木製の道具や建物を堅牢にして水をはじき腐食を防ぎ害虫から守ってきたのですが、
装飾性に優れていたことも広まった大きな理由です。
食器を始め調度家具、宝飾品、神社仏閣、鎧兜、馬具などの武具、
楽器や遊具の装飾にあちらこちらに漆の活用を見ることができます。
中国や東南アジアであちらこちらで見受けられる朱色の塗装、
日本の神社の赤い鳥居など漆塗りが施されています。
身の回りをでは仏壇にはじまり、スマホの飾り、お箸、ライター、万年筆、
お盆、書箱、車の内装と注意するとあちらこちらで利用されています。
|漆塗りの耐久性
漆が乾燥することで漆膜を形成しますが、その堅牢性は驚くべきものがあります。
きっちりとした条件では3000~4000年の耐久性があるといわれています。
その条件とは紫外線の当たらない室内や地中などで保存されていることです。
漆塗装は紫外線には極めて弱く表面が次第にチョークの粉のようになってゆきます。
そのために神社などでは40~50年に一度程度の割合で外の塗装を塗り変えています。
家庭の漆器の管理は決して外には出さないで紫外線をあてないようにすることです。
漆塗りの弱点は乾燥と紫外線に弱いことです。