漆器の装飾(加飾)
漆芸の装飾には
以下の物理的な方法がとられます。
- 塗って磨く
- 漆で文様を描く
- 別の素材(貝、金、銀)を漆を接着剤にして埋め込んで上に漆をぬる
- 漆を塗り重ねて文様を彫る
- 木地を彫って漆を塗る
- 金粉を蒔いて塗る
- 細かい文様を針で刻み込んで文様を描き金・銀箔を埋め込んで漆を塗る
これらの物理的な装飾法は漆器工芸の技法として確立され
様々に組み合わせの上作品が製作されています。
|漆器を飾る4つの手法
漆器は上塗りで完成とすれば素朴な民芸品として魅力にあふれるものですが、
更に装飾を加えることで美術品の領域まで引き上げられてゆきます。
基礎技術は大陸伝来とされていますが、
漆器への絢爛豪華な装飾は奈良時代には様々装飾法が用いられていました。
さらに漆芸の装飾技術は江戸時時代の経済発展とともに大いに進化してゆきます。
日本の各地で様々な装飾技法・加飾(かしょく)が開発されています。
特に蒔絵は日本独特の手法でその見事さでジャパンと漆器が
称せられた所以でもあります。
漆器に施される装飾技法は大きく分けて4つに分類できます。
- 蒔絵 (まきえ)
- 箔絵・切箔 (はくえ)
- 沈金 (ちんきん)
- 螺鈿 (らでん)
|蒔絵(まきえ)
蒔絵とは日本が進化発展した装飾技法ですでに平安期には確立されていました。
これも漆の持つ接着力を利用して装飾してゆきます。
上塗りした漆器に漆を筆で模様や絵を描きます。
その上に金粉や銀粉を蒔きつけて乾かすと絵や文様が浮かび上がります。
どのような細い線も見事に描き出すことができます。。
更にその上に漆を薄く塗って固めて表面を磨きあげてゆきます。
漆の強烈な接着力で金銀の粉は固着します。
蒔絵には以下の手法があります。
|平蒔絵
上記の一般的な蒔絵手法です。
漆器の表面に漆で絵柄を描きその上から金粉や銀粉を蒔きます。
粉をまいた後に漆をで固めて磨きます。
|研ぎ出し蒔絵
平蒔絵の上にさらに漆を塗って炭で金粉面まで研ぎだす手法です。
蒔絵が漆器の漆の高さと同じになるのが特徴です。
微妙な粉の濃密が表現できて、霞や雲などのかすんだ感じが出ます。
|高蒔絵
蒔絵の文様をあらかじめ炭粉をまいて高く盛り上げた立体的な絵にしたものです。
|箔絵
表面に漆で文様を描いて接着剤とします。
その上に金銀の箔を切って貼って文様を描き出します。
|漆絵
上塗りした無地の漆器に色をつけた漆で絵や文様を描きます。
会津塗りがその代表的な手法です。
|沈金(ちんきん)
上塗りした漆器の表面を小刀やノミで細い文様をほり、文様周辺に漆を塗って
金箔金粉を文様の溝に押し込みます。
更に漆を薄く塗って固めます。
金色の掘り文様が浮き上がります。
|螺鈿(らでん)
螺鈿細工とはよく聴く言葉ですが螺はらせん状の貝、鈿はちりばめることを意味します。
漆器の表面を掘って貝を埋め込む方法と
貝を漆器表面に貼ってその上に漆を塗り重ねて行く方法があります。
貝は南の沖縄などでは夜光貝、本州では鮑が使われています。
日本だけではなくアジアの各地で行われています。