下地作り
下地作りは漆器制作工程の基礎工事になります。
漆器は実に基礎工事をしっかり行っています。
あの美しい艶やかな漆芸の装飾は地道な基礎作業に手を抜いてない結果です。
|下地作りとは?
本格的に漆を塗る作業の前の準備作業といえるものです。
器の形を整えて傷を隠し木地の弱いところを補強する作業です。
これも手間隙のかかる作業になります。
漆器の強度はこの下地作りにかかっているといわれています。
各産地によって様々な手法が用いられています。
代表的な作業は以下のようになります。
|本堅地(ほんかたじ)の作業
漆を使った本堅地の作業で下地作りです。
- 木地の割れ目に生漆と木粉を混ぜたものを塗りんで補強する
- 木地の角や上緑を磨いて漆がつきやすくする(地磨き)
- 生漆を木地に塗る
- 椀のふちや底に布を貼り付ける「布着せ」という作業で強度をます
- 布と木地に生漆を塗る
- 乾燥させて研ぐ
- その土地の粘土や火山灰の焼いた粉を生漆に溶いて塗る(下地づけ)
- 乾燥させて砥石で研ぐ
- 6,7の作業を1~3度繰り返。
- 砥石の粉を生漆に溶いて塗る(錆つけ)
- 乾燥させて表面を滑らかに磨く
その他漆を使っての下地作りには、本地、蒔地などの手法がありますが
これらの作業によって木地が変形したり収縮することを防いでいます。
|渋下地(しぶしたじ)
上記の作業の漆の代わりに柿渋を使い、地の粉の代わりに炭の粉を使います。
本堅地よりは堅牢度では多少劣りますが、かなり強度にすぐれ漆も節約できます。
実用的な漆器に向いています。
会津塗は渋下地がメインの下地作りの技法になります。
これらの下地作りに共通することは
その土地の粉をや砥石の粉を漆に混ぜて何度も塗ることで
強度をましています。
有名なものには輪島の塗りの地の粉があります。
地元からでる珪藻土を焼いて作っています。
また強度の弱いところに布などを張って補強もしています。
このように漆器は実用に耐えるように様々な工夫と手をかけて作られています。
漆工の準備としての下地つくり終えた器は本格的な塗りの作業に入ってゆきます。