鉄錆塗(てつさびぬり)とは?
会津塗の大きな特色の一つに伝統的な鉄錆塗りを上げることが出来ます。
下地に通常使われる錆漆(さびうるし:生漆に砥粉【とのこ:砥石(といし)の粉】を混ぜたもの)を器全体に丁寧に何層にも施していきます。
更に錆漆で盛り上げるように伝統的な絵柄の梅や鶯の絵柄を乗せてゆき、ワンポイントに螺鈿細工をアクセントにする技法です。
縁には金色を施します。
乾いたら研磨剤で磨いてゆきますが、まるで鉄が錆びたような金属的な重厚な仕上がりになるために
鉄錆絵とか鉄錆塗とか言われます。
お椀などではふたの裏には、光沢ある朱漆を塗って、富士山と帆掛け舟の会津の蒔絵が古くからの絵柄です。
明治大正時代に盛んに用いられた技法です。
素朴で実直な会津の魂と表には決して出さいない雅を追求する欲望を融合させたような
技法とも言うべきでしょうか・・・。
この会津塗を際立たせてきたこの鉄錆塗りも近年、その手間と職人さん不足で、
生産が極端に低下し、技術の断絶の危機に直面してきています。
確かに、工業的な漆器に比べて高価になりますが、
ご覧のようにその重厚感や醸し出す風合いは格別なものがあり、
絶やすには余りにも無念なものを覚えます。
高橋商店は、会津塗の伝統の継承にも力を注いでいます。
多少のリスクよりは、会津塗の技術と美の伝達を一つの使命と考え、
鉄錆塗りの製造販売に力を注いでいます。